ホンダや日産の「独占」を崩せるか

英紙が注目　中国BYDの「軽EV」は苦戦する日本市場の「黒船」となるか

2025年1〜3月のEV販売で米テスラを上回ったBYDが日本の軽自動車市場に挑む
Photo by Tomohiro Ohsumi/Getty Images

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フィナンシャル・タイムズ（英国）

Text by Harry Dempsey

中国BYDが日本市場向けにEVの軽自動車を発売すると発表し、話題を呼んでいる。日本での売り上げが低迷する同社にとって、この新しい挑戦は起死回生の一手となるのか。英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」が考察した。

グローバル展開への野望を隠さない中国の電気自動車（EV）大手BYDは、日本の自動車市場のなかでも異彩を放つ分野に攻勢をかけようとしている。

同社は2026年末までに、低価格のEVの軽自動車を日本で発売する予定だ。独特な箱型をした軽自動車は、世界4位の規模を誇る日本の自動車市場の売り上げの約40%を占めている。

2023年に日本を訪れたBYDの幹部は、軽自動車の人気が予想以上に高いことに気づき、製品ラインナップを拡充することにした。同社が目論むのは、ホンダ、日産などの大手自動車メーカーが長年独占してきた日本の軽自動車市場に風穴をあけることだ。

日本でBYDが苦戦する理由

過疎化が進む日本の地方ではガソリンスタンドが急速に減少しており、燃料価格も高騰している。こうした状況から、「ミスター・ビーンが乗っていたような」小型で低価格のEVには商機があると、BYDオートジャパンの東福寺厚樹社長は言う。

本紙の取材に対し、彼はこう語る。

「軽自動車は、日本人のライフスタイルに合っています。経済的な合理性が伝われば、既存の大手メーカー以外の軽自動車の購入も検討してもらえるのではないかと考えています」

日本の自動車ブロガーはBYDのこの新たな挑戦を、1853年に米国のペリー提督率いる黒船が江戸湾に来航した出来事になぞらえる。

BYDのような中国の自動車メーカーは、長年日本車の牙城だった東南アジア市場での売り上げを奪っている。だがBYDが日本で顧客を獲得するのは容易ではないと、アナリストは分析する。

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